#2 サマコン目前(R2期 ちーちゃん)

 KCA通信第2回目は、管理人(?)よりご指名を受け、突然ですが、工学系大学院生の私の研究のお話です!

 

それはさておき。。。

 

もうすぐサマーコンサートですね!(やったー!!!!)

練習のたびに新入団員が上達してて凄いです!フレッシュさと勢いも凄い!!

よく考えると「上手くなること」って凄いことですよね。

どうすれば上手くなれるんでしょうか?

 

 

『“目”より先に“手”が肥えることはない』

呪術廻戦(芥見下々、集英社)の登場人物、東堂葵のセリフです。

今日は「上手くなること」を起点に、私が考える「よりよいものづくり」についてお話しします。

 

 

合唱をしていると、うまくハモって気持ちいい時もあれば、そうじゃないこともありますよね。うまくいかなかった時には、「もっと上手になりたいな」なんて思うこともしばしばあるかと思います。

 

物事が上達するための1つの効果的な方法は「上手い人を真似る」かもしれません。

一説には「学ぶ」という言葉が「真似ぶ(まねぶ)」に由来するというように、上手な人を真似することで、知らず知らずのうちに「上手く歌うために必要なこと」を身につけることができるのでしょう。そして逆に言えば、上達するためには「上手であることの要件」(Why)と「どうすればその要件を満たせるか」(How)を理解することが重要です。

「上手であることの要件」は、合唱を例にすれば、音程が正しい・声がよく響くなどでしょう。また、「どうすればその要件を満たせるか」は、歌う技術的な方法論が当てはまります。そして、「上手であることの要件」を知ることは「“目”が肥える」ことであり、「どうすればその要件を満たせるか」は「“手”が肥える」ための方法論です。

 

この「真似る」、もちろん合唱に限った話ではありません。スポーツ、麻雀(?)、政治、経済などなど、当てはまることは多いのではないでしょうか。

 

そして「ものづくり」も例外ではありません。

 

例えば自動車では、「性能の良い他社の車を買ってきて分解した」なんて話もあるかもしれません。そうして「どうして性能が良いのか」・「どうすれば性能が良いための条件を満たせるか」を知ることで良いものをつくれるようになる、ということです。

 

より「ものづくり」にフォーカスしていきましょう。

どうすれば、「いいもの」の理由と方法論を知ることができるのでしょうか?

 

その答えの1つが「最適化とデータマイニング」です。

 

最適化とは、文字通り「最適な状態にすること」で、ものづくりに関して言えば、設計要求(性能・価格など)を最も良く満たす設計を実現することです。

データマイニングとは、情報(データ)から有益な知識を見出す(採掘する・マイニング)技術で、一般に大量のデータに対して実施されます。

 

つまり、最適化によって優れた設計を実現し、データマイニングによって「その設計がどうして優れているのか」・「どうすれば優れた設計を実現できるのか」という知見を獲得しよう、ということです。

 

もう少し説明をがんばってみます。

この方法はもしかすると、熟練者には必要のないものかもしれません。

 

熟練者「儂は何千台と車を設計してきた。儂の手にかかれば、設計は思いのままじゃ。」

若手 「では、どうしてそのような設計にしたのか、(理論的に)教えてください。」

熟練者「儂の長年の経験からわかることじゃ。」

 

これでは困ってしまいますね。熟練者がいなくなってしまえば、もう2度といいものは作れません。さらに困ったことに、初めて作るもの(つまり熟練者がそもそもいない場合)には手の打ちようがありません。

 

誤解を恐れずにいうと、最適化は事前知識に依存せずに良い設計を見つけることができる技術です。したがって、初めてつくるものであってもある程度優れた結果を期待できます。一方で、最適化では事前知識を必要としないがために、なぜそのような結果が得られたのか理解できない場合がしばしばあります。

 

この状況は「若手にはよく分からない理由で、熟練者が選んだ設計」と似ていますね。「良いもの」はできたのだけれど、何故だか分からない。

そこで役立つのが、「何故?」に答えてくれるデータマイニングです。例えば、「ある設計パラメータが性能にどの程度影響しているか」や、「どの性能パラメータ同士が関連しているか」など、設計に有益な情報が効率的に獲得できます。

 

つまり、まず良いものを作っておいて、それをよく調べようということです。

実際は今述べたように簡単なことではなく、最適化の問題設定、計算コスト、データマイニングの方法などクリアすべき課題もあります。それでも、もしこのような方法が一般的になれば、より便利で豊かな社会になるかもしれませんね。

 

 

 

というわけでウケを気にせずに書いてしまいましたが、いよいよサマーコンサート目前!(?)

色んな指揮者や歌い手を見て聞いて、上手くなるチャンス…かもしれませんね!楽しんでいきましょう!!